①「頭痛」「めまい・ふらつき」「胸痛」「吐き気」が発症した場合、どんな病気が疑われますか。
●突然の「頭痛」「めまい」「吐き気」が襲う場合、「脳梗塞」や「くも膜下出血」などの脳血管疾患が、疑われます。特に、呂律が回らない、手足がしびれる、力が入らないなどの症状が加わると、その可能性はさらに高まります。
この場合は、必ず医療機関を受診しましょう。
●「頭痛」ですが、こめかみから目の辺りが突然脈打つようにズキズキする痛みは偏頭痛が疑われます。「目の前がチカチカする」「稲妻が見える」などの前兆が起こる事が多いのも特徴です。市販の鎮痛剤の内服でも改善しない事が多く、やはり医療機関で適切な治療をお受け下さい。頭がギューッと締め付けられるような頭痛や首・肩コリなどを伴う場合は、筋緊張性頭痛が考えられます。ストレス、寝不足、同じ姿勢での長時間作業、高血圧症などが原因の事が多いのです。
●「めまい・ふらつき」についてですが、周囲がグルグル回るような「回転性めまい」に耳鳴り・難聴・吐き気などを伴いますと、メニエル病などの内耳の病変が考えられます。耳鳴りや難聴がなく、寝返りなど頭の位置により起こる短時間の「回転性めまい」は、良性発作性頭位めまい症です。いずれにせよ、医療機関での治療が必要です。「体がフラフラするめまい」いわゆる「ふらつき」は、高血圧でも低血圧でも起こります。又、睡眠不足、ストレス、発熱、下痢、脱水症、等の際にも、起こります。血圧が過度に低くなり、脳への血流が一時的に低下する場合を、脳貧血と呼びます。無理をせず、頭を低くして、足を少し拳上して安静にします。
●「胸痛」ですが、体を動かした後、つまり労作時の胸痛は、狭心症が考えられます。特に長時間持続する胸痛は、心筋梗塞の可能性が高くなります。又、労作時でなくても「胸痛」「息切れ」「動悸」などの症状があれば、心血管疾患の可能性が高く、必ず、専門医療機関を受診下さい。
●「吐き気」ですが、腹痛、下痢、便秘など消化器症状が原因の場合は、急性胃腸炎、胃・十二指腸潰瘍、等が考えられますが、これらがない場合は、脳血管疾患・脳腫瘍などの脳内病変や内耳疾患、を考えなければなりません。一時的な「吐き気」や暴飲・暴食、乗り物酔い、ストレス、睡眠不足など原因のわからない、しかも長く続く吐き気は、しっかり原因を見極めるため医療機関を必ず受診しましょう。
②そうした病期を予防・治療し、日頃から健康を維持する上で、一番大事なことは何でしょう。
自らの健康状態を、先ず自己チェックされる事です。未病のうちに病気を摘み取る事、早期発見・早期診断・早期治療が大切な「3大早期」と私は考えております。そのためにも、定期健康診断を、必ず受診下さいます様、お願い致します。市区町村の特定健診だけの年1回の健康診断だけでなく、年2回の検診が適当だと考えております。
③上記以外に、急に具合の悪くなるケースはありますか。またその対策も教えて下さい。
●熱中症:高温・多湿・風の流れの無いような環境で起こります。特に、下痢の後、暴飲・暴食の後、高血圧、糖尿病などで内服されている方、睡眠不足などの後に、起こる可能性が高くなります。体内から、水分だけでなく塩分・ミネラル分も喪失する為、暑い時期はこまめに水分・ミネラル分の入ったスポーツドリンクなどをこまめに取りましょう。不整脈:動悸や脈の乱れが起こる場合。水分補給や安静にしても、脈が安静時でも120/分以上は発作性頻拍の可能性があります。早めに受診下さい。
● 呼吸困難:喘息、慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支・肺気腫)、不整脈などの慢性の病気を、お持ちの方は、風邪や発熱などによりこれらの病気が急性に増悪することがあります。「風は万病の元」です。マスク・手洗い・体調管理に留意下さい。これら、慢性疾患がなく「呼吸困難」を生じる場合、極度の緊張やストレス、睡眠不足などが重なると「過換気症候群」が起こりやすくなります。紙袋を鼻・口に当てて呼気を吸う呼吸法(ペーパーバック法)が良いでしょう。また、突然の「胸痛」「呼吸困難」が同時に起こる場合は、気胸も疑われます。やはり、無理をせず、受診をお勧めいたします。
④日常の生活習慣で、健康を維持するためのポントは何でしょうか。
❶規則正しい生活リズム
同じ時刻に起床し、夜更かしを避け、同じ時刻に入眠を心がけましょう。
生活習慣をより良い方向へと導くには、やはり、規則正しい生活リズムです。
❷十分な睡眠・快眠 *睡眠の質問事項へ続く
一日の疲れは、その日のうちに取るのが、健康を維持して行く秘訣です。
慢性の睡眠不足は、日常生活に支障を招きます。
❸バランスの取れた栄養
夜遅くの過食や、過度のアルコールは、慢性の疲労蓄積や睡眠不足につながります。
お勧めは、季節ごとの旬の野菜を食卓に取り入れる事です。
⑤年齢差はあるともいますが、睡眠時間は、一日どれくらい必要ですか。
若年者ほど、睡眠時間は8時間から9時間と、多くとる必要がありますが、一般的には、年齢とともに必要睡眠時間は減少していくと言われます。そもそも睡眠は、深い眠りのノン・レム睡眠が1時間、浅い眠りのレム睡眠が30分の1時間30分周期にて繰り返されています。これらが4周期で6時間の計算になります。従って、個人差はあるものの、5時間から6時間くらいが成人の必要睡眠時間と考えて良いでしょう。
⑥「午後11時までの就寝を」とよく言われますが、睡眠不足は一体、どんな影響を与えますか。
睡眠不足が、慢性に続くと生活習慣病を引き起こします。高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満などです。ひいては、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞など心血管病変を、引き起すことは、先ほど述べてきた通りです。特に、慢性の睡眠不足が続くと、注意力や集中力の低下により、思わぬ事故を引き起こすことも多いのです。そのためにも、その日の疲れは、その日のうちに取る。疲れをためないリズム正しい生活、睡眠不足を蓄積しない早めの就寝を心がけることが大切です。休養とは、休む事と、積極的に養生することなのです。
⑦「寝つきが悪い」「ぐっすり眠れた気がしない」「朝、起きられない」などの悩みを抱えている方もいます。快眠のためのポイントを教えてください。
❶目覚めたら日光に当たりましょう
私たちの脳内には、メラトニンという脳内物質があり、睡眠のバランスをつかさどっています。いわゆる「体内時計」の役割を担っています。これが狂うと「時差ボケ」がおこるわけです。
メラトニンの作用により、目から入る光が暗くなると、ねむくなり。「明るい光」特に「太陽光」が目に入ると覚醒へと向かうのです。ですから、就寝時は、部屋をできる限り暗くし、目覚めるときには、太陽光を浴びるか部屋をできる限り明るくする事で、覚醒のリズムを作りましょう。
❷ぬるめの入浴でリラックスしましょう
40度程度のぬるめのお湯に長めにつかる事です。熱いお湯に入ると、かえって交感神経緊張状態を生じて、快眠を妨げます。
❸睡眠時間にこだわらず、毎日、同じ時刻に起床しましょう
適切な睡眠は、人により異なります。昼間の眠気がなければ気にすることはありません。又、休日もなるべく同じ時刻に起床しましょう。
❹昼寝のすすめ。
午後3時前の20分から30分程度の仮眠は、1時間分の睡眠に匹敵します。短時間の昼寝でリフレッシュしましょう。ただし、1時間以上の昼寝は禁物です。
❺就寝前のコーヒーや紅茶などカフェインを含む飲み物を避けましょう
カフェイン抜きのデカフェの飲み物や、ハーブティー、空腹のときはホットミルクなどがお勧めです。
❻寝酒は避けましょう
以外と認識されておりませんが、寝酒は睡眠障害を悪化させ、またアルコール量も増す傾向になります。
❼朝食をしっかり食べましょう
食事のリズムをつけると生体リズムも整います。
❽軽い運動習慣をつけましょう
適度な疲れが眠りを誘います。ストレッチなどの軽めの運動がお勧めです。また、覚醒時には、スイッチを入れるためのラジオ体操程度の運動を励行致しましょう!